【レビュー】小型なのにパワフルなつよつよドローンDJI Mini 3 Proを試す


DJIから5月20日に発売となる小型・軽量Miniシリーズの最新機種DJI Mini 3 Pro。エントリーモデルながらProと冠した機体は従来モデルから大幅なグレードアップを果たしている。今回は発売前の機体をフィールドに持ち出し、映画やCMなど数々の現場でドローン撮影を手がけてきた古賀心太郎さんに使ってもらい、その使用感についてお話を伺った。

テスト●古賀心太郎/文●編集部 萩原

 

ついに発売されたDJI Mini 3 Pro。軽量で携帯性が高く、低価格であるMiniシリーズ(Mavic Mini, DJI Mini2)は、エントリー向けドローンとしてグローバル市場で大いに受け入れられてきた。今回発売されたDJI Mini 3 Proのキャッチフレーズは「ミニ。でもプロ」。エントリー向け機体の後継機でありながら、商品名に“Pro”の文字が入っていることから、その性能向上に大きな期待を持てそうな機体である。本記事ではDJI Mini3 Proで撮影した映像とレビューを紹介したい。

 

DJI Mini 3 Proのセールスポイント

DJI Mini 3 Proは様々な性能、機能がアップデートされているが、特に注目したい3つのポイントを以下に挙げる。

  1. 高画質

1/1.3インチCMOSセンサーを搭載。4K/60fp撮影可能。F1.7の明るいレンズ、ハイダイナミックレンジの映像を実現

  1. 安全性能

3方向の障害物検知により、初心者でも安心して飛行が可能

  1. バッテリー持続時間

最大47分の飛行時間を実現

 

DJI Mini 3 Proで実際に撮影した映像を、まずはご覧いただきたい。

 

航空法改正で規制対象にはなるものの充分に小型軽量

DJI Mini 2までの既存Miniシリーズの最大のセールスポイントは、重量199g(海外仕様は249g)という超軽量の機体だったと言えるだろう。現行の日本国内の航空法では200g未満のドローンは「無人航空機」に該当しないため規制が少なく、ほとんどの飛行の場合は、申請などを気にすることなく楽しむことができた。しかし、2022年6月以降は、国内でも100g以上は規制対象となり200g未満のメリットがなくなってしまうため、今回のDJI Mini 3 Proは日本仕様も249gの重量で設計されている。

 

249gの軽量な機体

 

とは言え、250g程度でも充分に軽量。もちろん機体は折り畳み可能なので、携帯性も抜群だ。プロポ(送信機)やバッテリーを含めても小さなバッグに収納できるので、いつでも持ち歩いて撮影できるサイズである。

機体、プロポ、予備バッテリーが小さめのバッグにすべて収納できる携帯性

 

プロポは高輝度モニター一体型のDJI RC。DJI RC Proのデザインを踏襲しているが、アンテナが筐体に内蔵されており、シンプルな形状だ。重量390gと軽量のため、長時間操縦していても苦にならない。映像伝送はDJI O3システムを採用しており、耐干渉性が向上。都市部のような複雑な環境でも安心して飛行できるという。

なお、620日以降の航空法改定に合わせて、Mini 3 Proは内蔵リモートIDに対応する予定で現在、国交省の承認待ちだという。リモートIDとは登録することによって各機体に対して固有のIDが付与されることにより機体所有者を識別できるようになるもの。航空法改正に伴い、2022年6月から出荷されるドローンには、リモートIDの登録が義務付けられている。飛行中や近くに所持者がいない状態でも、機体の所有者等を把握することができるよう登録が義務化される。未登録の機体や不審なドローンの特定することが今後可能になる。

 

Miniシリーズで初めて衝突回避センサーを搭載!

従来のMiniシリーズは初心者向けのエントリー機体でありながら、衝突回避センサーが搭載されていないという点に不安要素があった。しかし、DJI Mini 3 Proには、前方・後方・下方の3方向に障害物検知機能が搭載され、特に前方向の水平検知範囲が106°と広範囲のため、誰でも安心して操縦することが可能だ。

DJI Mini 2にはなかったアクティブトラック機能も追加されたので、優秀な障害物検知センサーが搭載されたことはとてもありがたい。

 

前方の障害検知センサーの範囲は水平106°、垂直90°

 

従来比2.6倍、バッテリー持続時間が大幅に向上!

最大47分という飛行時間は、DJI Mini 2の18分と比較して飛躍的に向上している。海や山などのフィールドレジャーで使用する際に、バッテリーをいくつも持っていくのは面倒だが、1本でこれだけの飛行時間を稼ぐことができれば、気兼ねなく空撮を楽しむことが可能だ。実際に今回のテスト撮影では、多くの本数のバッテリーを用意できなかったものの、長時間の飛行が可能であることに大いに助けられた。

※Intelligent Battery Plus:47分 / 120g,   Intelligent Battery(通常版):37分/80g

バッテリーは2種類あり、「ULTRA LIGHT 249g」の文字が記載されているのは通常版(飛行時間37分)。47分飛行可能なIntelligent Battery Plusは容量が大きいため、バッテリー重量も40g程度大きい。

 

 

小型ながらパワフルな飛行速度と耐風性能

DJI Mini 3 Proはプロペラサイズが大きく設計されており、最大16m/sの速度で飛行することが可能だ。例えば、飛行中に10m/s程度の突発的な風が発生しても、充分に帰還できるパワーを備えていることになる。プロペラの軸は前方に傾くように設計されているのだが、これはドローンが前進する際に機体が前傾することを考慮しており、前進時には機体本体が水平姿勢となって、空気抵抗を低減し、エネルギー効率を高める狙いがある。結果として、バッテリー消費を抑えて飛行時間を延ばす効果にもつながり、とてもよく考えられた機体設計だと感心する。

 

従来のMiniシリーズに比べ、大きなプロペラ設計

 

前進する際、空気抵抗を低減するために機体が水平姿勢になるように設計されている

 

 

 

F1.7の明るいレンズと1080/120fpsに対応するカメラ性能

DJI Mini 2は昼間の撮影では画質にある程度定評があったが、やはり夜間の撮影ではノイズの問題もあり、不充分だという声があったという。DJI Mini 3 Proは、1/1.3インチCMOSセンサー、有効画素数は48MP。4K/60fpsで撮影でき、レンズ絞り値はF1.7と明るく、ダイナミックレンジも大幅に向上している。スローモーション(1080p/120fps)撮影も可能なので、今回のテスト撮影でも重宝した。

実際の静止画ファイルはこちら

 

 

縦位置での撮影も可能になったジンバル性能

特筆すべきなのは、上方向撮影と縦モードが可能だということ。一般的なドローンの多くは、ジンバルを上向きにするとプロペラやアームが映り込んでしまうが、DJI Mini 3 Proは上方向へ60°までジンバルを傾けることができるので、ビルや滝などの背の高い被写体に近距離で撮影することができ、ダイナミックなカメラアングルを実現する。また、カメラを縦向きにするモードが追加され、SNSに便利な縦動画を撮影することが可能となり、今回から追加されたアクティブトラック機能と併せて、広い世代のユーザーに喜ばれるだろう。

 

 

まとめ

エントリー機体のMiniシリーズでありながら、カメラ性能、機体性能ともに大きく進歩したDJI Mini3 Pro。機体サイズは“ミニ”でありながら、名前の通り“プロ”の性能を持っていることがお分かり頂けたであろう。これから初めてドローン空撮の世界に足を踏み入れる人にとっては、最高の1台になることは間違いない。

 

 

DJI Mini 3 Proの主なスペック

機体 重量 249g
サイズ(長さ×幅×高さ) 収納時(プロペラなし):145×90×62mm
展開時(プロペラなし):171×245×62mm
展開時(プロペラあり):251×362×70mm
最大飛行速度 16m/s(Sモード)
10m/s(Nモード)
6m/s(Cモード)
最大飛行時間 47分(インテリジェント フライトバッテリー Plus)
34分(インテリジェント フライトバッテリー)
最大風圧抵抗 10.7m/s
カメラ センサー 1/1.3インチ CMOS
有効画素数:48MP
レンズ FOV:82.1°
35mm判換算:24mm
絞り値:F1.7
ISO感度 動画:100~6400(オート)、100~6400(マニュアル)
写真:100~6400(オート)、100~6400(マニュアル)
最大静止画サイズ 4:03
8064×6048(48MP)
4032×3024(12MP)
16:09
4032×2268(12MP)
動画解像度 4K:3840×2160
24/25/30/48/50/60fps
2.7K:2720×1530
24/25/30/48/50/60fps
FHD:1920×1080
24/25/30/48/50/60fps
スローモーション:1920×1080@120fps
最大動画ビットレート 150Mbps
デジタルズーム 4K:2倍
2.7K:3倍
FHD:4倍
カラープロファイル ノーマル
D-Cinelike
写真フォーマット JPEG/DNG(RAW)
動画フォーマット MP4/MOV
(H.264/H.265)

 

●製品情報

DJI、軽量249g未満で4K/60fps動画・縦向き撮影が可能なドローンDJI Mini 3 Proを発売

●メーカーサイト

https://www.dji.com/jp/mini-3-pro

 

 

 

 

 

vsw