360度の可能性を無限に! Insta360 X3 最速レビュー


360度のアドバンテージをフルに活用できるアクションカメラInsta360 ONE Xシリーズ。その最新モデルであるInsta360 X3が登場した。ハードウェアは、さらに使いやすくブラッシュアップされ、多彩な楽しい機能も満載だ。本記事では、発表前に実機とアプリ(ベータ版)を入手して行なった検証を交えて、いち早くその全貌を紹介する。

テスト・文●染瀬直人

Profile
写真家、映像作家、360度VRコンテンツ・クリエイター。日本大学芸術学部写真学科卒。2014年にソニーイメージングギャラリー銀座にて、作品展「TOKYO VIRTUAL REALITY」を開催。360度作品や、シネマグラフ、タイムラプス、ギガピクセルイメージ作品を発表。VR未来塾を主宰し、360度動画の制作ワークショップなどを開催。Kolor GoPro社認定エキスパート・Autopano Video Pro公認トレーナー。You Tube Space Tokyo 360度VR動画インストラクター。
facebook:https://www.facebook.com/naoto.somese
blog:http://www.naotosomese.com/

 

 

概要

Insta360 X3(以下、X3)はInsta360 ONE Xシリーズの3代目となる最新モデルであり、前モデルONE X2から、およそ2年振りの発売となった。今回より、製品名から”ONE”が外れ、シンプルにX3というネーミングになっている。

2017年に発売されたInsta360 ONEは、スマートフォンに直挿しして使用する方式であったが、2018年発売のInsta360 ONE X以降、Insta360独自の強力なFlowState手ブレ補正を武器に、360度の撮影と、それを応用してアクションカメラの側面が強調された商品企画となっている。次第にカメラ単独のUIが発達してきており、今回のX3では2.29インチの大型のタッチスクリーンと4つの物理的なボタンを実装するに至っている。また、AI自動編集の大胆な導入も先進的だ。Insta360は、今年に入り、レンズ組み替え式のInsta360 ONE RS、1.0型のイメージセンサーを搭載したInsta360 ONE RS 1インチ360度版、4K性能のWEBカメラ Insta360 Linkと新製品のローンチが続き、発売ラッシュとなっている。

Insta360 X3の特徴 

それでは、早速、X3の特徴を見ていこう。以下、今回の製品で採用された仕様と盛り込まれた機能を列挙してみる。

 

・1/2インチイメージセンサーを採用

イメージセンサーについては、従来の1/2.3インチ CMOSセンサーから、より大きな1/2インチセンサーが採用された。これにより高画質、高精細化の実現。そして、ダイナミックレンジの拡張が図られている。

・強化ガラスによる2.29インチの大型タッチスクリーンを実装

・電源ボタン、クイックメニューボタン、シャッターボタン、レンズ切り替えボタンの4つの物理的なボタンを設置

・7,200万画素の360度(2:1)静止画性能

静止画の最大解像度がONE X2の約18MP(6080 x 3040)から約72MP(11968×5984)に大幅に増加。

・360度アクティブHDR動画を実装
5.7K360度動画における移動撮影時の安定化とハイライトとシャドウの再現を両立。

・4Kシングルレンズモード
広角アクションカメラ動画(シングルレンズモード)が、4K(3840×2160)で撮影可能になった。

・8K360度タイムラプス動画
360度タイムラプス動画の解像度が、8K(7680×3840)にアップグレードされた。

・ミーモード
見えない自撮り棒を用いて撮影した動画を、編集時にリフレームすることなく、撮影者をフォローしながら4K撮影する機能を実装。

・4K/120fpsのバレットタイム
バレットタイムがONE X2の3K100fpsから、4K/120fpsや3K/180fpsで撮影できるようになり、より高フレームレートを利用したスローモーション効果で、ドラマチックな瞬間を表現できるようになった。

・プリレコーディングモードとループ録画モードを実装
アクションの冒頭やハイライトシーンを逃さずに記録できる。

・360写真アニメーション
360度静止画写真からアニメーション動画に変換が可能になった。

・リフレームした際も、音声がアクションに追従する方向性強調オーディオを実装

 

その他、以下のような従来機の特徴を継承している。

 

・自撮り棒の効果で第三者視点映像が得られる。

・FlowState 手ブレ補正+360度水平維持。

・10m防水性能。

・AI自動編集。

 

Insta360 X3のセットを開封。

 

外観とスペックについて

X3の大きさは、ONE X2とほぼ同等で、高さ114mm x 幅46mm。厚み(奥行き)が些か増しており、33.1mmとなっている。質量はバッテリーを含めて180gだ。

光学系では、前述の通り、1/2インチのイメージセンサーを搭載。レンズは背中合わせのデュアルフッシュアイの構成で、絞りがF1.9。焦点距離が6.7mm(35mm相当)である。タッチスクリーンはより大型になり、2.29インチとなった。スマホと接続せずとも、スタンドアローンでの操作やプレビュー、再生がより容易になっている。表示は、デフォルトの画面表示の左下のボタンをタップすると撮影モードや解像度の変更が可能に。右下のボタンをタップすると前後のレンズの切り替え。下方向にスワイプするとカメラ設定画面に。左方向にスワイプすると露出等のパラメータ設定画面に。右方向にスワイプすると再生画面が表示される。

音声による制御ができる他、モバイルデバイス用のInsta360アプリを利用した場合は、設定、カメラコントロール、プレビュー、再生に加え、スマート編集まで行うことができる。

X3では本体に4つの物理的なボタンが設置された。(ONE X2では2つ。)シャッターボタンは、これまでのカメラ正面の中央下部から、左下の位置に変更になっている。正面右下にはレンズ切り替えボタン、右サイドに電源ボタン、クイックメニューボタンが配置されている。

起動時や撮影開始時にはカメラ自体の振動によってフィードバックが得られるようになったので、スポーツ撮影時等でも作動状態の把握がしやすくなった。

交換バッテリーのサイズは、些か小さくなったが、容量はONE X2の1630mAhから1800mAhへと10%程度増加している。駆動時間は81分とされているが、筆者の検証では、5.7K/30fpsの撮影で90分ほど稼働した。Wi-Fiの転送が50%高速になっている。

写真の解像度は、7200万画素 (11968×5984)と1800万画素 (5952×2976)。記録形式は、inspとDNG RAWである。動画の解像度は360度撮影では、最大5.7K:(5760×2880) 30fps。4K:(3840×1920)60fps等が選択できる。シングルレンズモードでは、最大4K(3840×2160)/30fpsの解像度となっている。

動画のファイル形式は、シングルレンズの場合はmp4、360度撮影の際はinsv。最大動画ビットレートは、ONE X2の100Mbpsから120Mbpsに増加している。カラープロファイルは、鮮やか、標準、LOGが選べる。X3はハウジングなしで、10mまでの防水対応である。水中で撮影した素材の360度のステッチを行うには、別売りの潜水ケースが必要となる。

 

Insta360 X3を各方向から見た製品写真

2.29インチの大型タッチスクリーン

Insta360 X3とONE X2を並べて比較

 

X3の交換バッテリー

X3の交換バッテリー(左)とONE X2の交換バッテリー(右)

タイプCケーブルの端子

USBタイプCケーブルの端子のカバーの開閉の具合がスムーズに改善されていたり、同梱の保護ソフトケースに入れた状態で充電できるように、ケースに穴が設けられているなど、細かいところにも、気遣いが感じられた。

Insta360アプリの画面。アプリからは、カメラコントロールや各種設定、プレビュー、再生はもちろん、編集ラボの多彩な映像エフェクトのテンプレートを適用したり、FlashCutによるAI自動編集を利用できる。スナップウィザードでは、360度の映像から直感的なリフレームが可能だ。

Insta360 Studio 2022の画面。よりこだわった編集には、PCアプリのInsta360 Studioを利用することになる。

 

Insta360 X3を検証してみた

今回、X3の発表前に実機とアプリ(ベータ版)を入手して、新機能の検証をおこなった。このチャプターでは、X3の特徴的な機能をピックアップして、具体的に作例を紹介していく。

 

7,200万画素360度写真

X3では静止画の解像度が従来の約18MP(6080 x 3040)から約72MP(11968×5984)に大幅に増加した。​​7月に国内発売されたTHETA Xの最大約60MP(11008 x 5504)を若干上回る格好となった。X3ではDNGも撮影することができる。18MPも選択できるが、72MPの高解像度を選択する場合は、照明の条件が良い環境下で良好な結果が得られる。Insta360独自のPureShotを利用すると、AI処理によって、ダイナミックレンジを拡張すると共に、ノイズを低減。ディテールを保持して、鮮明な画像を生成する。

7,200万画素(11968×5984)360度写真。PureShotのDNGデータを、Instac360 Studio 2022で処理後、Adobe Photoshop Camera Rawで画像調整。(原寸大データはこちらでダウンロード

 

5.7K 360度撮影

動画の360度撮影時の最大解像度は、5.7K/30fpsと前機種のONE X2と同等だが、1/2インチイメージセンサーの採用によるダイナミックレンジの拡張と画質の向上が確認できた。

 

Insta360 X3 5.7K/30fpsの360度撮影作例動画

 

Insta360 X3とInsta360 ONE X2との画質比較動画(5.7K30fps)

 

Insta360 X3 5.7K30fps 360度動画(低照度撮影)作例動画

 

360度アクティブHDR動画

動画の最大解像度は360度撮影時が5.7K/30fpsと前期種のONE X2と同等だが、1/2インチイメージセンサーによる画質向上と共に、初めて360度アクティブHDR動画が実装された。5.7K/360度動画における移動撮影時の安定化とハイライトとシャドウのディテールの再現が両立されている。輝度差のある環境でのアクションシーンも、高画質の映像が担保される。

 

 

360度アクティブHDR動画の作例動画。

Insta360 X3 アクティブHDR効果の比較

 

4K シングルレンズモード

ONE X2の片側だけのレンズを使用するステディカムモードは、2560×1440 50fpsのスペックであったが、X3では広角アクションカメラ動画(シングルレンズモード)が4K(3840×2160)で撮影可能になった。この場合は、カメラ内手ブレ補正の処理となる。2.7K(2720×1530)を選択した際は、170度Max広角が利用でき、Insta360アプリかInsta360 Studioの処理で、Flowstate手ブレ補正の適用とアスペクト比の変更が行える。360度撮影が不要で、画質を優先したい場合は、シングルレンズモードの4Kを選ぶと良いだろう。2.7Kなら後からフレキブルに画角等を変更できるという訳だ。

 

4Kシングルレンズモード作例動画

2.7Kシングルレンズモード作例動画 170度Max広角

 

 

ミーモード

ミーモードは、見えない自撮り棒を使った自撮り動画を、4K/60fpsで撮影する新しいモードである。最初に360度で手持ち撮影をした後は、16:9もしくは9:16の書き出し用に最適化されるので、編集時のリフレームが不要となる。自撮り棒を体に近寄せて水平に保持して、このモードで撮影すると、4Kシングルモードとは異なり、デュアルレンズの死角によって自撮り棒は写らずに、2つのファイルをステッチした動画から180度の画角で、自身をフォローしたフレーミングが可能となるのだ。

Insta360 X3 ミーモード 16:9

Insta360 X3 ミーモード 9:16

 

4K/120fps バレットタイム

バレットタイムは、映画『マトリックス』のように、人物の動きをフリーズさせたまま、その周囲をカメラのアングルが回転していくという表現である。それまで、たくさんのカメラを使用して撮影していた手法を、カメラ一台で実現したInsta360独自の楽しい機能の一つだ。そのバレットタイムがONE X2の3K/100fpsから、4K/120fpsや3K/180fpsで撮影できるようになり、今回は純正のアクセサリーであるバレットタイムコードを利用して、頭上で回転させて撮影した。

 

バレットタイム作例動画。4K/120fpsで撮影。書き出しはフルHDである

 

8K/360度タイムラプス
360度タイムラプス動画の解像度が、ONE X2の5.7K(5760×2880)から、X3では8K(7680×3840)にアップグレードされた。このようなポケットサイズの筐体で、8Kの高画質のタイムラプスを実現できることは喜ばしい。

 

8K360度タイムラプス作例動画

 

写真アニメーター

静止画に任意の動きをつけて、アニメーション化する新機能が、Insta360アプリに追加された写真アニメーターだ。この機能には「空」、「リトルプラネット 転換 360」、「集合写真」、「カップル」などのテンプレートが用意されており、好きな動きを選択して、写真に適用することができる

写真アニメーター作例動画

 

まとめ

Insta360 ONE Xシリーズは、360度アクションカメラの大ヒット製品である。今回のX3では、各種機能がより進化して、使い勝手が向上した。

従来から実装してきた独自の特徴を継承しつつ、要所要所がアップグレードされた印象だ。コンシューマーVRカメラのトレンドであるタッチスクリーンが大型化し、物理ボタンと併せて、スタンドアローンでの操作がさらに容易になった。動画の最大解像度は360度で5.7K/30fpsとONE X2と同等だが、アクティブHDRが実装され、シングルレンズモードでは4K撮影が可能になった。また、ポケットサイズのコンパクトな筐体でありながら、8Kタイムラプスを実現している。X3の強みは、デュアルレンズのメリットとシングルレンズ時の画質を切り分けて利用できるところにあると思う。スポーツやアクションシーンでは、360度で撮影しておいて、編集時にリフレームすることにより、ベストな画角を押さえることができるし、編集の可能性も無限に広がる。Vlog撮影では、4Kシングルレンズモードが活躍するだろう。

また、アスペクト比の変更も容易なので、YouTubeはもちろん、InstagramやTikTokなど、好みの各種プラットフォームにスムーズに対応する。360度ライブ、配信者が固定視点を設定できるリフレームライブ機能も実装している。

Insta360 X3は360度の可能性を無限に拡張する楽しさに満ちたカメラと言えるだろう。

Insta360 X3は、公式ストアや全国の量販店(一部店舗を除く)、各社オンラインショップ、アマゾン、楽天など各取扱店舗より9月8日より、発売開始。販売価格:68,000(税込)

 

●製品情報

https://www.insta360.com/jp/product/insta360-x3