Lマウントで20mmからの小型ズームレンズLUMIX S 20-60mm F3.5-5.6をS1HとSIGMA fpで試す(レポート:御木茂則)


これまで重量級のレンズが多かったパナソニックSシリーズのレンズ。新しく登場するズームレンズは小型軽量で、20-60mmというこれまでにないレンジをカバーする。S1Hユーザーでもある御木茂則さんにS1HのムービーとSIGMA fpのスチルで試していただいた。

レポート●御木 茂則

 

 

レンズ紹介

Lumix Sシリーズの新しいズームレンズは重量が350gと軽く、Lumix SシリーズのカメラユーザーだけでなくSIGMA fpのユーザーも待ち望んでいた登場ではないでしょうか。ワイド系に振られた焦点距離20-60mmはワイド系を多く使う方や気軽に映像を撮りたい方に最適なレンズと感じました。価格は7万円台とSシリーズのレンズとしては安価ですが、防塵防滴が施され、フッ素コートがされた前玉は汚れがついても落ちやすいなど、耐候性に配慮され大切なところが手抜かりなく作られています。ズームとフォーカスのリングは、他のSシリーズのレンズと同様にスムーズに動きます。

このレンズの最大の特徴は20~26mmの焦点距離で最短撮影距離が15cmと短く、広角マクロとして使えることです。望遠側のf値が5.6と暗く手ブレ補正はないですが、Sシリーズのカメラを使用すれば強力な手ぶれ補正と高感度耐性の強さで、テストした条件ではカバーをできました。f値の変化は20mmf3.5、24mmf3.8、28mmf4.0、35mmf4.5、50mmf5.3、60mmf5.6になります。

▲パナソニックレンズ3本比較。左から『LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.』、『LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6』、『LUMIX S PRO 24-70mm F2.8』

 

 

写真撮影

私は普段は仕事でなくともS1Hに24-105mmをつけて持っていきますが、朝の習慣にしているジョギングのときにはLUMIX GX7Mark2に単レンズか12-60mmをつけて、グレゴリーのウェストポーチに入れて走っています。

今回は同じくお借りしたSIGMA fpに20-60mmをつけて、同じポーチに入れて朝のジョギングに持ち出してみました。フルサイズのレンズ交換式カメラを持っているとは思えない軽さとコンパクトさは唯一無二のもので、マイクロフォーサーズを使っているときと変わらない感覚でスナップをすることができました。f値に関しては日中のスナップではf5.6まで絞ることが多いので、私は気になることはありませんでした。

SIGMA fpとLUMIX S 20-60mm F3.5-5.6の組み合わせ

 

SIGMA fp スチルの作例

 

 

映像撮影

映像はレンズのコンパクトさを活かして、カメラもコンパクトなSIGMA fpを使用したかったのですが、バリアングルモニターを使いたかったのでLUMIX S1Hを使用しました。このレンズの使いでがあるシチュエーション、限られたスペース内とワイド側で寄れることを生かした撮影を試みました。

撮影は友人のこみずとうたさんの厨房(トウタリングひみつキッチン)で行いました。ご飯をテイクアウトついでに撮影をしたという設定で、店内でパンをするときに一脚を使う以外は手持ちで1時間弱の撮影をしました。

▲LUMIX S1HとLUMIX S 20-60mm F3.5-5.6の組み合わせ。手持ちで撮影。

 

屋内の照明はトップからの地明かりのみ、感度はISO4000に設定し露出は入射露出計でトップの出ためから1絞り半開けてf5.6。屋外は曇り空でノーライト、感度をISO640に設定してND4を使って、入射露出計でトップの出ためから一絞りを開けてf8~11になりました。

色温度の設定は店内のLED蛍光灯の色温度はカラーメーターでは5000Kの10G(グリーン)でしたが、地明かりのニュアンスを残すためカメラは5600K。屋外の色温度は5500Kで、カメラは同じ5600Kにしました。フォーカスはマニュアルにしています。

60mmから望遠が必要なときと、ワイド側で寄りたいときはS-35mmモードに切り替えてクロップをしています。切り替えの手間はありますが、これにより普通の室内撮影なら充分な20-90mmまでを使えます。24mmだと引きが足りないときもありましたが、20-60mmはレンズ交換をしないでそのまま撮影を続けられ、撮影時間の短縮もできました。

 

(映像撮影では感染の専門家のアドバイスに基づき撮影者はマスク・手袋をし、撮影機材はエタノールで拭いて消毒、撮影当日は検温してから撮影を行なっています。)

 

まとめ

LUMIX S 20-60mm f3.5-5.6は日常で気軽に使え、限られたスペースやテーブルフォトで使い勝手が良いレンズです。ワイド側での最短撮影距離の短さはスマホでの撮影に慣れた方にも違和感なく使えるのではないでしょうか。機材を軽くしたい僻地への帯同取材や山岳などにもいいかもしれません。このレンズとペアで使いやすいコンパクトな望遠レンズがあったらと思います。20-60mmはすでに発売されている24-105mm、24-70mm、16-35mmと焦点距離が重なりますが、このレンズを使わなければ撮れない被写体があるという魅力があるレンズです。

唯一の不満は望遠側の60mmで最短撮影距離が広角側と比べると40cmと少し遠いことです。ここが30cm前後ならばと思いました。これからもLeica、Panasonic、SigmaのL Mountアライアンスから魅力的なレンズが出てくることを期待しています。

 

LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 レンズ諸元

レンズ構成は9群11枚(非球面レンズ2枚、EDレンズ3枚、UHRレンズ1枚を含む)
絞り羽根 9枚羽根(円形絞り)
最小絞り F22。
最短撮影距離は0.15(26mmまで)~0.40m 最大撮影倍率は0.43倍(26mm時)
最大径×全長は77.4×約87.2mm
重量約350g
フィルター径67mm。
動作環境(使用可能温度 / 湿度)-10~40 ℃ / 10~80 %

 


御木茂則
日本映画撮影監督協会所属。神戸芸術工科大学 映像表現学科 非常勤講師
撮影『部屋/THE ROOM』『希望の国』(園子温監督)『眼球の夢』(佐藤寿保監督)
照明『滝を見にいく』(沖田修一監督)『孤独な惑星』(筒井武文監督)

 

LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6の情報ページはこちら