7月11日に開催されたシグマの新製品発表は異例の展開となった。当初は6本のレンズの発表(別稿で紹介する)のみかと思われたが、発表会のプレゼンが半分を過ぎたあたりから、会場は騒然としてくる。プレゼンをするシグマの山木和人社長が、フルサイズセンサー搭載のミラーレス一眼カメラの説明を始めたからだ。もちろんLマウントである。センサーは裏面照射型の35mmフルサイズで有効2460万画素のベイヤー配列センサー。発売は今年の秋、価格は未定。速報はこちら

ここでは、発表とその後の展示の実機を元にSIGMA fpの動画関連機能を中心にレポートする。(編集部・一柳)

 

CinemaDNG RAW 12bit収録に対応

SIGMA fpは静止画と動画といったジャンルの垣根を超えたシームレスなカメラで、動画は決してサブ的な機能ではなく、本格的なスチル撮影機能と動画撮影機能を両立している。本体上のスイッチで切り替える。

動画はMOVIEではなくCINEとなっているのがポイント。シネカメラにふさわしい機能を採用している。右がCINEモードでの表示。左のSTILLモードとはまったく違った表示になる。TCや音声レベルメーター、FPS、シャッター開角度、T値、ISO、色温度だけでなく、波形モニターも表示される。

クイックメニュー(QSボタンを押して使用頻度の高い項目を割り当てられる)もまったく違う構成になっている。左がSTILLモードで、右がCINEモード。動画フォーマットはCinemaDNGもしくはMOV。

CinemaDNG、そう、このボディサイズで、4K(UHD)RAW収録ができるのだ。

CinemaDNGは8bit、10bit、12bitから選択できる。記録メディアはSDカードだが、どこまでカメラ本体記録で保証できるのはまだこれからのようだ。USB3.1 GEN1 Type Cによる外部SSD記録も想定している。

MOVはH.264でALL-IとLongGOPを選択できる。記録画素数は4K UHD(3840X2160)の23.98p、25p、29.97p、フルHDでは23.98pから119.88pのハイスピードまで対応している。

 

ヒートシンク

本格的なCINEカメラだと言えるのは、ボディ側にこれまでのスチルカメラにはない構造があるため。センサーのすぐ裏側、液晶パネルとの間にヒートシンクを入れ、温度上昇を抑えている。ファンが入っているわけではない。

画面表示とメニュー

CINEモード時の画面表示とメニューをチェックしてみる。モニターは3.15型(3:2)液晶で、タッチパネルタイプ。

ボディ下部の左から2つめのボタンがディスプレイボタンで押すたびに以下の画面が切り替わる。

CINEモードでのMENU。

STILLモードでもCINEモードでもCOLORボタンからルックを選択できる。

そのルックのひとつにグレーディング手法の定番であるティール&オレンジ(T&O)もある。

 

スクエアなボディ。用途に応じてアクセサリー装着

カメラはスクエアなボックスタイプ。これがこれまでのカメラと違うところ。ボディ下部からバッテリーとメモリーカードを挿入。

左側面にマイク端子、HDMI Type D、USB-C、ストロボの接点がある。ちなみに1/4インチネジ穴も切られている。(ネジ穴はボディ右側にも)

この端子部をガードし、上にホットシューがつくユニットがオプションとして用意される。(オプションではなく同梱になります。7月12日訂正)

EVFはないが、オプションとしてLCDビューファインダーがある。ハンドグリップも浅めのものと深めのものの2種類がある。

撮影現場での運用イメージ

シネレンズを装着し、リグを組み、Vマウントバッテリーから電源を供給。

ジンバルにもマッチする。Ronin-Sとの組み合わせ。

ドローンに載せることも想定。

 

面白い使い方としては映画制作現場のディレクターズファインダーとして。ラージセンサー化が進むデジタルシネマカメラでは、カメラによってセンサーサイズはまちまち。あるレンズをつけたら画角がどうなるかを判断するのが難しくなっている。

ディレクターズビューファインダー機能で、各シネマカメラでの撮影範囲をシミュレーションできるというもの。

 

同時に発表されたシネレンズの新提案については別稿にて。

●製品情報

https://www.sigma-global.com/jp/cameras/fp-series/