【富士フイルムX CREATIVE CAMPイベントレポート】AUXOUT×X-H2S Cinematic VlogとX-H2Sの相性は?


VIDEO SALONでは2023年1月14日(土)に東京・原宿 LIFORK HARAJUKUにて、富士フイルムPresents「X CREATIVE CAMP」を開催。同イベントでは、最大6.2K/30p(4:2:2 10bit)撮影に対応する積層型CMOSセンサーを搭載し、AF性能が大きく向上した「X-H2S」、手に取りやすい価格帯でありながら8K/30p(4:2:2 10bit)のProRes収録が可能な「X-H2」の2機種を使い、AUXOUTさんと鈴木佑介さんがそれぞれ撮り下ろした作品を通して、各機種の特長や魅力を解説。この記事ではAUXOUTさんの講演の一部を紹介します。

取材・文●高柳 圭

 

AUXOUT(オックスアウト)

アメリカのFull Sail大学で音響技術を学び、音楽業界からデジタルエージェンシー、金融業界を経て現在はフリーの写真家・映像作家へ転向。YouTubeの登録者数は25万人、SNS総フォロワー数は40万人を超え、大手カメラメーカーや国内外グローバルブランドとタイアップを行う。オリジナルのLUTは160ヵ国以上でダウンロードされるなど国内外の映像クリエイターからも注目を集めている。

 

Vlogは日記のような感覚で、まずはRECボタンを押すことから始まる

僕はもともとガチガチの映像作家というよりも、かっこいいホームビデオのような感覚で「Cinematic Vlog(シネマチックなルックのVlog)」を撮ることをテーマに、約5年前から映像を作り始めました。最近では、Vlogの認知度もあがり、お仕事をいただく機会も増え、昨年に独立をしました。今回は、vloggerな視点と、映像作家としての視点それぞれからX-H2Sの魅力や使ってみた感想をお話できたらと思います。

Vlogは日記のような感覚で、日頃からカメラを持ち歩いてとにかくRECボタンを押すことが大事です。今回の作品は、去年の8月に撮りためた夏の思い出をまとめた作品になります。

 

今回、AUXOUTさんがX-H2Sを使って撮影した作品「Third Summer」。ひと夏の様々な出来事を記録してまとめた作品で、日常的な風景とシネマチックな映像処理を施したシーンが組み合わされて制作されている。

 

X-H2Sの製品情報を見る

 

動画機としてのX-H2Sのポイント

AUXOUTさんがX-H2Sを使ってみて感じたおすすめ(上)と注意したいポイント(下)。

 

使ってみて良いと感じたのは、撮って出しの画質の良さです。カメラメーカー各社でLogの設定がそれぞれあると思いますが、X-H2Sはその雰囲気がとても良かったです。次に、AF性能もしっかりしている印象でした。C-AFで、本当に少しだけどハンチング(AFの迷い)を感じる場面もありました。でも、X-H2SのAFは一昨日12日に公開されたファームウェアで改善された部分もあるそうなので、その後、AF性能がどうなったのか気になります。

1月12日に公開されたX-H2Sの最新ファームウェア

 

また、ダイナミックレンジの広さもポイントです。今回はF-Log2で撮影したのですが、性能通り14+のダイナミックレンジが出ているのが印象的でした。僕は逆光など、エモい雰囲気の画を撮ることも多いので、映像データで幅広い階調の表現ができるのは大きいと思いました。その他には、ローリングシャッター歪みに強い点で、他社のフラッグシップ機と比べても強みとなるポイントだと感じます。

 

加えて、記録フォーマットを豊富に選べる点も魅力だと思いました。今回はProResではなくH.265で記録したのですが、そこでもビットレートを幅広く選べて圧縮率の低い映像データが保存できるのは良かったです。後処理で取りにくいノイズなども入りにくいので、これは前述の画質の良さという点にもつながる要素ですね。

 

 

AUXOUTさんのX-H2Sおすすめ撮影設定

X-H2Sによる動画撮影のおすすめ設定。

 

今回の作品は4K/60pで撮影しましたが、4Kで撮るか、6Kで撮るかはそれぞれ表現したいものでお好みかなと思いました。ノイズについては高感度ノイズ低減-4で、フレーム間ノイズリダクションはOFFにして、PCでノイズ処理をしています。そのほうがより広いダイナミックレンジを得られるからです。また、記録フォーマットは、今回テストでH.265 ALL-I 422を使ってみましたが、僕の編集環境では動作が重かったのであまりおすすめしません。X-H2SはProResでの収録ができるので、編集ソフトでのレスポンスを優先するならProRes収録がいいと思います。

 

F-Log撮影のポイント。

F-Logの設定に関しては、F-Log2のBase ISOが1250 / 3200でとなっているので、最小ノイズかつ最大のダイナミックレンジを得るためには可能な限りNDフィルターなどを使用してBASE ISOで撮影するほうが良い
と思います。また、X-H2SにはWaveform(波形モニター)がないので、F-Log撮影時は、ゼブラでクリッピング(白飛び)を確認しておくのもポイントだと思います。

 

X-H2Sのおすすめレンズとあると便利な周辺機材

AUXOUTさんが動画撮影で使用しているおすすめレンズや周辺機材。

 

レンズに関しては、僕のVlog撮影の作風にもよるのですが、動画はポートレートでも広角がおすすめです。実際の映画の撮影ではアナモルフィックレンズが使用されることも多く、一般的なスチル用の画角よりワイド絵になるため、広角レンズを使用してシネスコにクロップすれば擬似的に雰囲気に寄せることができます。これからVlogを撮ろうと思っている人にもおすすめしたいですね。

 

F-Log2でのカラーグレーディングについて

作品のカラーグレーディングについてDaVinci Resolveを立ち上げて解説するAUXOUTさん。

 

続いては、F-Log2でのカラーグレーディングについてです。最初のステップではコントラストの浅いLogのデータをRec.709の色域に戻す必要があります。富士フイルムからF-Log、F-Log2をRec.709の色域に戻すためのLUTが提供されているのですが、それに加えて、ETERNA(エテルナ)というフィルムシミュレーションのルックに変換できるLUTも一緒に公式サイトでダウンロードできます。ETERNAは、映画用フィルムを模した映像を表現するために開発されているので、これを使った段階で、ハイライトやシャドウが滑らかなルックになります。ただ、スキントーンに関しては、個人的に僕が表現したい色よりもピンクに寄る印象だったので、白い肌の状態に調整しました。

F-Log、F-Log2用の公式LUTのダウンロードサイト

 

そこからさらに、作品全体のルックを自分の表現したいものに近づけていきます。最新のレンズは解像感も高く、エッジもキレイに立って撮れるのですが、僕はデジタルっぽさよりも、フィルムルックが好みなので、そのエッジを取って、アナログ感を加えていく作業に時間をかけています。コントラストを調整して、あえて黒を潰したり、鮮やかな色合いを淡い雰囲気を整えていったり、フィルムグレインを加えていくといった処理を行います。

 

Glowエフェクトの中身(画像をクリックすると拡大できます)。

 

そうした処理の一例を紹介したいと思います。最近はよくミスト系のフィルターを撮影時にレンズに取り付けて、ふわっとした雰囲気を画を撮るということも多いと思います。こうした処理はDaVinci Resolveに搭載されている「Glow」のエフェクトでも結構簡単に作ることができます。

パラメーターの中にある「Shine Threshold」の数値で光の強さを決めて、「Spread」で拡散の具合を調整していきます。「Composite Type」のモードを「Soft light」にすることでハイライトの光がふわっと拡散するんです。あとはGlowで足した光に「Color Filter」で少し色を足してあげたりもしつつ、「Global Blend」の「Blend」のパラメーターを調整して、Glowのかかり具合を調整していきます。こうすることでフィルムルックな映像に仕上げています。このGlowエフェクトに関しては、僕はほとんどの映像で使っているかもしれません。

 

X-H2Sは、フィルムシミュレーションを使った撮って出しの雰囲気もいいし、F-Log 2で撮影してカラーグレーディングで、自分の好みのルックを追求する際にも調整幅が広く、Vlog用途でもプロの動画機としても使いやすいカメラだと思います。動画にハードルを感じている人もまずはRECボタンを押して、ストーリーなんかすべて後付けでもいいから動画撮影にチャレンジしてほしいですし、X-H2Sそれを力強く後押ししてくれる存在だと思います。

 

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vsw