コマーシャル・フォトが毎月開催しているフォトグラファーのためのイベント『Monthly ProPhoto』が
3月17日、銀座アップルストアにて開催された。
今回のテーマは前回に引き続きEOS 5D MarkⅡ。
フルHD動画撮影機能を搭載した一眼レフカメラとして注目を集める5D MarkⅡだが、
実際の映像制作の現場でどこまで使えたのか?
実際にビジネスとして5D MarkⅡを使用した映像制作者による座談会が行われた。
来場者は180人近く、立ち見が出るほどの盛況ぶり。
フォトグラファーと映像制作者が半々集まるという
まさに5D MarkⅡというカメラを象徴するかのような客層だった。


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▲この日の登壇者(左から)撮影監督・柳橋伸幸さん、映像ディレクター・黒川静香さん、プロデューサー・佐藤武司さん。
3人はKDDIのWebコンテンツ「サクラスイッチ」で5D MarkⅡを使用して映像を制作。今回プロデューサーを務め、数多くのミュージックビデオに携わってきた佐藤さんは5D MarkⅡを選んだ理由をこう語る。
「その解像感にも驚かされましたが、35mmフルサイズの撮像素子による被写界深度の浅さ
から得られるボケ味の美しさを我々ミュージックビデオ制作者は長年求めてきました。
それが30万円という価格で手に入る。願ってもない機材でした」
ただし、実際にテスト撮影を行なってみると、いくつかの問題点も発覚したという。
撮影面では主に以下のような問題点があった。
【撮影での問題点と解決策】

問題点 解決策
・露出がフルオート 絞りリングのあるマニュアルレンズとNDフィルターを用意して対処
・フォーカス送りが難しい Redrock Micro社デジタルシネマアクセサリーを使用
・通常、動画制作ではカメラマン用の小型モニターとスタッフやクライアントなど現場にいる全員が撮影した映像を確認するモニターの2系統の出力が必要だが、映像出力が1系統しかない ブラックマジックのMini Converter HDMI to SDI」で2系統に分配。ただし、SD画質。音も出力されない
・タイムコードがない 解決策なし。規格上4GBで一度シャットダウンするのだが、タイムコードなどがないため、そのタイミングが計れない。
・CMOS特有のローリングシャッター現象で走る電車が斜めに写る AfterEffectsで修正

【編集作業での問題点と解決策】
編集はMacProで行ったがここでもいくつかの課題があった。

・データが重い 撮影データのMacへの高速転送が可能なFireWire800のカードリーダーを用意。また、編集作業が行いやすいコーデック『Prores 422』に変換してFinal cut proで編集を行なった。
・HDD

MacPro 本体の内蔵ハードディスク4つでRAID0のシステムを組んで転送速度を上げるのが望ましい。

今回のセミナーでは、以上のような実際の制作現場を通じて得た実体験の話を聞くことができた。
セミナー終了後も登壇者へ熱心に質問を投げかける来場者達でにぎわっていた。
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▲今回使用したRedrock Micro社製動画一眼レフ用アクセサリーを利用した撮影装備と興味津々の来場者達の様子。
実際に作られた映像はこちらで観られます
コマーシャル・フォト4月号にはサクラスイッチの撮影現場レポートが掲載されています(編集篇は5月号に掲載)