井村宣昭氏、Blackmagic Micro Cinema Cameraをミュージックビデオ撮影に活用


ブラックマジックデザインの発表によると、株式会社 I-7 代表で数多くのトップアーティストのミュージックビデオを手がける撮影監督の井村宣昭氏が、スピッツ、Fo’x Tails, および SiM / Crossfaith のミュージックビデオの撮影に Blackmagic Micro Cinema Camera を使用した。

株式会社 I-7 は、カメラマンとカラリストを抱える少数精鋭のプロフェッショナル集団。井村氏は同社立ち上げ以前から撮影監督としてAKB 48、安室奈美恵、ONE OK ROCK など数多くのアーティストのミュージックビデオや、CM、コンサート映像の撮影を手がけてきた。

「カメラマンは独立してしまうと技術共有がなくなってしまう。もともとマルチカメラの撮影の仕事が多く、一緒に仕事するカメラマンと一緒に成長できれば、と思って立ち上げたのがこの会社だ。」(井村氏)

その井村氏が撮影したミュージックビデオに、Blackmagic Micro Cinema が活躍している。そのひとつはスピッツの「みなと」。モノクロ映像にアニメーションと実写を組み合わせた作品で、実写部分はすべて Micro Cinema Camera で撮影された。

「この作品は監督から古い映画のようにしたいとリクエストがあった。Production Camera 4K は以前から使っているので、Blackmagic 特有の質感は、フィルムっぽさを出すのに適しているというのが選定の理由のひとつ。紙芝居のような感じを出したいということだったので 35mmセンサーのカメラを使わず、被写界深度が深めで 16mmのフィルムらしさを出すために Micro Cinema Camera を使用した。

スピッツのメンバーも撮影された素材を見て喜んでいた。綺麗すぎたので、演出的に古い絵本のような感じにするため後処理でわざと荒くしたくらい。」(井村氏)

もうひとつは、Red Bull Air Race 2016 のテーマ曲にも選ばれた SiM と Crossfaith のコラボ曲「GET iT OUT」。スピード感がありエネルギッシュな楽曲だ。楽曲の魅力を十分に伝えられるよう、ミュージックビデオは飛行場で演奏するバンドをカメラカーやクレーン、飛行機などから撮影しており、Blackmagic Production Camera 4K とMicro Cinema Camera をはじめ数多くのカメラが使用された。Production Camera 4K はカメラカーの後方部、Micro Cinema Came はエアレース用の飛行機の翼部分に搭載して撮影された。

「Micro Cinema Camera は空撮でコンパクトに使えるカメラで質感もいい。メインで使っているシネマ系カメラとのマッチングもしやすかった。他の小型カメラだとグレーディングをしてもなかなかここまでのトーンに持っていけない。」(井村氏)

ロックバンド Fo’x Tails の「The Liberty」でも同様に、マルチカメラでスピード感のある撮影が行われた。同作品では Micro Cinema Camera を自社製の特機に搭載し、そのカメラを回転させるというユニークな使い方をしている。こうすることで映像が回転するような効果が出せる。

「この特機に載せられるのはかなり小型なものに限定される。そのおかげで特機を手持ちして回転させるという大胆な使い方ができる。そのうえレンズ交換ができてダイナミックレンジも広い画が撮れるというのはメリットだ。」(井村氏)

これらの作品はすべて、I-7 の DaVinci Resolve Studio でグレーディングされた。

「弊社ではオフライン状態からグレーディングされている状態にしたいので、すべての素材をグレーディングしている。オフライン編集が上がってきて、まだ時間に余裕があれば、そのあとさらにグレーディングの調整をする。

規模の大きなコンサート映像などではカメラが30台以上になることもあり、さらにカメラの種類もバラバラ。なのでそのマッチングを Resolve ですべて行っている。スピードも速いのでイメージするルックにすばやく近づけられる。グレーディングするには一番トーンを作りやすいツールだと思う。」(井村氏)

 

ブラックマジックデザイン
http://www.blackmagicdesign.com/jp

vsw