話題のシネマカメラBlackmagic Cinema Camera 6KでSamsungポータブルSSD T9を検証する【SAMSUNG SSD WORLD】


REPORT◎井上卓郎
協力◎日本サムスン株式会社/ITGマーケティング株式会社
機材協力◎ブラックマジックデザイン株式会社

はじめてSamsungSSDのレビューをしたのがBMPCC 4Kが発売した時のT5だった。あの頃はまだSSDは高嶺の花ならぬ高値の花だったが、ここ最近はかなり手軽に手に入るようになった。今回は初心を思い出し(?)先日発売されたSamsung T9とこちらもつい先日発売になった、ブラックマジックマジックデザインBlackmagic Cinema Camera 6K(以下BMCC6K)との組み合わせで検証と活用法をレビューしたいと思う。

 

BMCC6K概要

BMCC6Kはブラックマジックデザイン初のフルフレーム6Kデジタルフィルムカメラだ。2018年に発売されたBlackmagic Pocket Cinema Camera 4Kから続く系譜のカメラで6K解像度、13ストップのダイナミックレンジ、そしてBlackmagic RAWなどの記録フォーマットをサポートしている。USB-C接続で外部SSDに収録することも可能だ。

カメラとしてのレポートはこちらから
われらがブラックマジックのシネマカメラがフルフレームセンサーになって帰ってきた!「Blackmagic Cinema Camera 6K」を検証する

 

Samsung ポータブルSSD T9概要

USB 3.2 Gen 2×2インターフェイスを通じて最大2,000MB/s (1TB/2TBモデルの最大書き込み速度は1,950MB/s)の読み出し/書き込み速度を実現したポータブルSSD。ラインナップとしては1TB2TB4TBWindowsMac、スマートフォンやタブレット、シネマカメラなどと互換性がある。また最大3mの落下耐性を備え優れた信頼性を持っている。なおBMCC6Kの推奨USB-Cドライブとしては、T9 1TB/2TBとT7 Shield 1TB/2TBが記載されている。

 

Samsung Magicianで速度を計測

いつもはディスクの速度計測ソフトの定番のBlackmagic Disk Speedを使って速度の計測を行うところだが、今回はSamsung製メモリストレージ製品を管理する「Samsung Magician」というユーティリティーソフトを使って計測を行う。

MagicianSamsung製のSSDやメモリーカード、USBフラッシュドライブなどの状態を監視し、ドライブを最適なパフォーマンスに保つソフトウェアだ。ファームウェアの確認やディスクスキャンなども行うことができる。またストレージにパスワードを掛けセキュリティーを上げることもできる便利なソフトウェアだ。最新バージョン(8.0.0)から、従来のWindows版だけでなくmacOS版やAndroid OS版も公開されたので、今回はMagicianのパフォーマンスベンチマーク機能を使って速度を計測してみた。念のためいつものBlackmagic Disk Speedを使って測定もしてみたが結果に大きな違いはないようだ。

 

 

読み出しと書き込みの速度計測

今回使用するT9 2TBモデルは読み出し、書き込み速度のメーカー公称値が最大2,000MB/s、
1,950MB/sの外付けSSDだが、比較として同じくSamsungのT7 Shield 2TBモデル (同最大1,050MB/s、1,000MB/s) を用いて読み書き速度の比較をしてみた。

 

MacBook Pro M1 Max (2021)

まずはいつも映像編集に使用しているMacBook Pro M1 Maxで測定。原因は後述するがT9T7 Shieldはともに読み出し約880MB/s、書き込み約860MB/s程度とほぼ同じ速度になった。T9は公称2,000MB/sなので期待した数値は出なかった。公称1,050MB/sT7 Shieldは大体予想通りのスピードだ。

T9
T7 Shield

Windows 自作機

次にCG製作やAI生成で使用しているWindowsの自作マシンで測定をしてみた。

読み出し約980MB/s、書き込み990MB/s程度と先ほどのMacBook Proに比べて若干速くなったが大きな違いは見られなかった。

T9
T7 Shield

 

なぜスピードが出ないのか?

実は今回の検証前にT9が本来の性能を発揮するのはUSB3.2 Gen.2×2に接続する必要があるとお聞きしていた。なんでだ? みたいな口調で書いてしまったが、「ははーん、言っていたのはこのことか」と思いながら計測をしていた。ただMacBook ProUSB4と互換のあるThunderbolt 4に接続しての検証だったのでもしかしたらという淡い期待を持っていたが見事に打ち砕かれた。Thunderbolt 4ではUSB 3.2 Gen.2×2と完全互換というわけではないらしい。

私のWindows機は元々USB3.2 Gen.2のポートしかなかったのだが、こんなこともあろうかとUSB3.2 Gen2x2の拡張ボードを購入していたのであった。なかなか選べるボードの種類が少なかったのだが9000円程度でボードを入手。こういった拡張性はデスクトップPCのメリットだ。

▲ラトックシステム RS-PEU32-C1[USB3.2 Gen2x2 PCI Expressボード Type-C×1)] 。デスクトップPCUSB規格「USB3.2 Gen2x2」のポートを増設できる。

 

再び計測した結果は以下の通り。T9は書き込み速度1,900MB/s、読み出し速度1,700MB/sと本来の性能を発揮することができ、読み書きともにT7 Shield1.8倍程度の速度を出すことができた。本来はUSB4Windows機でも試してみたいところであったが筆者の手元にはないので試すことができなかったのが心残りだ。ハードウェアに依存するがこれからどんどん普及していく規格なのでT9が本格的に活躍できるのはもう少しだけ先のことになりそうだ。

T9USB 3.2 Gen 2×2ボード接続時)
T7 ShieldUSB 3.2 Gen 2×2ボード接続時)

BMCC6Kとの運用

さてここからがもう一つの本題、BMCC6Kとの運用を検証してみた。まずBMCC6KUSB-C接続をして止まることなく録画ができるか? BMCC6K36fpsまでの60484032 (Open Gate 3:2)60fpsまでの60482520 (6K 2.4:1)120fpsまでの19201080 (1080 HD 16:9)などなど多彩な解像度とフレームレートで撮影ができる。またBRAWのコーデックも固定ビットレートと固定クオリティがある。

今回は60484032 (Open Gate 3:2)30fps 固定ビットレート3:1および一番転送速度が必要な60fpsまでの6048 x 2520 (6K 2.4:1) 60fpsを固定ビットレート3:1でテストを行なった。

転送速度に関してはカタログスペック的にT9でもT7 Shieldでも問題がないことはわかっていたが、相性などメディア周りはトラブルが多いので実際に試してみるのが一番の信頼性につながる。

テストの結果T9T7 Shieldともに問題なくメディアがいっぱいになるまで停止することなく収録することを確認できた。SSDは容量いっぱいに近くなると速度が低下する場合があるが、BMCC6Kで使う分には問題はないようだ。

ただし以前伊納さんが行なったBMPCC6K G2(Pocketのほう)BRAW 3:1 50fps 61443456 (6K)で検証時T7 Shieldでは停止してしまっているので結構ギリギリだったのかもしれないので注意が必要だ。ちなみにBMCC6KBMPCC6KG2では撮影できる解像度とフレームレートがBMPCC6KG2のほうが高いという違いもあるので考慮が必要だ。

参考記事
SAMSUNG SSD WORLDBMPCC6KG2Samsung T7 Shieldを接続してSSD収録テスト~6K RAWをメディアチェンジせず4時間以上収録できるシステムになる!
https://videosalon.jp/pickup/samsung-ssd_ino/

 

 

2TB SSDに収録できる時間

今回は2TBSSDをお借りしたのでどの位の時間収録ができるのかを調べてみた。カメラに表示された残り収録時間は下表の通り。当たり前だが圧縮率が高くなるほど記録できる時間が長くなる。

固定クオリティー(可変ビットレート)の場合、変化が大きいシーンを撮影するとビットレートが変化するので表示される時間と異なり実際の撮影時間は長くも短くもなるのであくまでも参考値だ。

またBMCC6KBRAWと共にH.264のプロキシファイルも生成されるのでカメラに表示された時間と実際に収録できる時間が微妙に異なる場合がある。

参考までに筆者がよく使う圧縮率は固定ビットレートの8:112:1が多い。合成に使う場合などは3:1などの低めの圧縮率(高画質)を使うことがあるが、拡大して確認したところ高圧縮でも気にならないことが多い。固定クオリティーは撮影できる残り時間がよく分からないのと私の撮影する自然映像との相性が良くない(自然の風景は圧縮が難しい)場合があるのであまり使わない。

 

固定ビットレート
圧縮率 3:1 5:1 8:1 12:1
収録時間 1:28:50 2:26:30 3:50:38 5:38:36

 

固定クオリティ
クオリティ Q0 Q1  Q3  Q4
収録時間 1:28:50 2:26:30 3:50:38 5:38:36

固定クオリティは参考値。動きがあるかないかで収録時間が変わる。

 

SSDの固定方法

実際にSSDを使った収録を行う際に一番問題になるのはカメラにどうやって固定するかだ。リグなどに組み込むにしろ何かしらのSSDホルダーが必要となる。プラプラさせておくとケーブルが抜けたり接触が悪くなったりとトラブルの元だ。

今回は自分のカメラではなく、リグもSSDホルダーも持っていないので3Dプリンターを使って自作をしてみた。BMCC6Kの上部にある1/4インチのネジ穴を使い固定する。ケーブルも固定できるようにしてみた。思い立ったらすぐ作れるのが嬉しい。とてもいい時代になったものだ。

T9専用だがBMCC6K以外でもSSDで外部収録ができるカメラであれば使用ができる。1/4ネジでリグに固定することも可能だ。




自分でプリントして使いたい物好きな人のためにSTLファイルを公開している。自己責任・ノーサポートだが興味があれば使ってみてもらいたい。

https://drive.google.com/file/d/1KNJF-2UOoSFZngTek7RbZ16palATWOHz/view?usp=sharing

 

 

実際の運用とSSDの選択

SamsungからはいくつかポータブルSSDが出ているがどれを使うのが良いのだろう? T9T7Shield、そして参考までにすでに販売終了しているがみんな使っていたT5。それぞれのSSDのスペックを表にしてみた。

モデル T9 T7 Shield T5 (販売終了)
外観      
容量 1TB,2TB,4TB 1TB,2TB,4TB 250GB,500GB,1TB,2TB
インターフェース USB 3.2 Gen 2×2
(20Gbps)
USB 3.2 Gen 2
(10Gbps)
USB 3.1 Gen 2
(10Gbps)
書き込み速度(最大) 2,000MB/s(4TB)
1,950MB/s(1TB、2TB)
1,000MB/s 515MB/s
読み出し速度(最大) 2,000MB/s 1,050MB/s 540MB/s
質量 122g 98g 51g
備考 最大3メートルの落下耐性 最大3メートルの落下耐性
防水防塵(IP65準拠)
最大2メートルの落下耐性

 

まとめ

BMCC6Kでの運用を考えた場合はT9でもT7 Shieldでも問題はなかったが、SSDの役割は収録だけではない。収録後のオフロードや編集、バックアップにも使用されるので転送速度は重要だ。現に筆者は撮影現場でのデータバックアップや編集、クライアントへの引き渡しにT7 Shieldを複数台使用している。

MacBook Pro(M1Max)では性能を活かし切ることができなかったが、今後USB3.2 Gen.2×2を搭載した機器を使用する際はT9も選択肢に入ってくる。また最近出回り始めたCFexpress 4.0のカードのオフロード先としても高速なT9は良いのではないか?

筆者は今までSamsungSSDを何台も使用してきているが、今のところ一度もトラブルがなく全幅の信頼を寄せている。最近RAIDを組んだHDDでは満足ができなくなり、小型で持ち運びやすくどこでも編集ができ、容量単価が下がって高値の花でなくなったSSDに、これからさらなる期待を寄せている。

 

Samsung Portable SSD T92TB
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CK88Z8NY/ (Amazonサイト)

Samsung Portable SSD T7 Shield2TB
https://www.amazon.co.jp/dp/B09Y1P5D12/ (Amazonサイト)

Blackmagic Cinema Camera 6K製品情報
https://www.blackmagicdesign.com/jp/products/blackmagiccinemacamera

 

vsw