DJIから航空法適用外の199gでジンバル付きの安定した空撮映像が撮れるMavic Miniの登場から1年。後継機となるMini 2は4K/30p対応の撮影が可能に。パワーアップしたMini 2の進化点を従来モデルとも比較しながら探ってみた。

レポート●稲田悠樹(株式会社コマンドディー)

 

小型ドローンMavic Miniが、日本航空法適用外(一部)になる199gでサプライズ登場して1年。満を持してDJI Mini 2として進化して登場した。見た目や使用感などは、ほとんど初代Mavic Miniと変わらずに「もう一声!」と思っていた性能をしっかりとアップデートし、場面によってはメインのドローンとして使える性能備えている。ドローンに慣れ親しんだ人も、ドローンデビュー機としても両方のユーザーの持っておきたい1台だ。使用してみたファーストインプレッションとしては、仕事でもプライベートでも「とりあえず持っていく」ドローンとして不動のポジションになりそうだ。というのも本体、送信機、バッテリーハブ(バッテリー3本を充電できる)で、B5サイズよりも小さくそして重さがこの3つで、779gしかないのだ。

▲機体と送信機、バッテリーチャージャーを合わせてもB5サイズのビデオサロンの雑誌に収まるコンパクトさ。ちなみに2020年1月号は初代Mavic Miniのレビュー記事の掲載号。

 

▲重さもすべて合わせて779g。

 

このサイズで4K/30p撮影に対応

たったこれだけの荷物で、ブレのない空撮映像を4Kで撮影できるのだから、「飛ばすか飛ばさないかどっちになるかわからないけれども、一応もって行くか」という選択肢ができるようになる。映像をやっている人にとって見れば、レンズ1本分の荷物をMini 2にして絵のバリエーションを増やしたり、GoProなどアクションカメラと選ぶとするとマウントや周辺機器をもっていくことを考えるとアクションカメラと変わらないむしろ少ない可能性もある荷物量ではないだろうか。

 

初代Mavic Miniからの進化

今回の記事に関しては、ドローンを扱ったことのない方に向けて解説をしていく。まず199gという重さだがこれは、初代Mavic Miniと同じ重さである。この重さは日本においてドローンの主たる規制を定めている航空法上において、200g未満は、航空法の適用される無人航空機ではなく、トイ(おもちゃ)という扱いになる(海外では249gなど国による)。

よって去年発売された際は、外でしっかり空撮できる最低限の性能があるのに、小さい、軽い、安いと三拍子そろって盛り上がりを見せた。そして今回のMini2での進化したポイントとしては、2.7Kから4Kへ、最大伝送距離(飛行距離)が2000mから6000mへこのふたつがドローンを利用している人にとっての待望の進化である。逆を言うとまさに去年発売された初代Miniで「199gで軽くて小さくていいけど、映像も電波の安心感もちょっと不安」と思っていた部分が完全に払拭されたのだ。

▲左がMini2、右がMavic Mini。Mini2のカメラには4Kの文字が。

 

 

映像のクオリティに関しては、こちらの参考動画をご覧いただければと思う。設定に関しては、すべてオートで撮影し、編集時にカラーグレーディングも行っていない。

 

自動飛行の機能もMiniから同様に備わっており、ドローニー、ロケット、サークル、ヘリックスという自分でするにはちょっとカメラワークに練習が必要な動きだが、SNSなどでパット撮って出すとインパクトがある映像が自動で撮影できる。

 

▲自動操縦のインテリジェントフライトモードはドローニー、ロケット、サークル、ヘリックスの4種類を搭載。

 

ちなみに飛行の際に利用するアプリ「DJI FLY」には映像編集機能も備わっており、それを使って編集することもできる。編集の操作に慣れてない人向けには「テンプレート」モードも搭載しており、こちらは素材を選ぶだけで自動で映像編集してくれる。「プロ」は手動で編集するためのモード。

 

 

大きな点ではないが、ドローンを使っている人にとってちょっとうれしい進化もちりばめられており

  • 端子がすべてUSB-C(初代Mavic Miniは、マイクロUSB)
  • プロペラマウントが付属(初代Mavic Miniは、オプション)
  • LEDが見やすい色や追加された(Mavic Air 2の送信機は白。Mini2はグリーンプラス本体のフロントに追加)

という点を変えてくるあたりはさすがDJIと感じた。

 

 

初代Mavic Mini、Mini 2、Mavic Air 2のスペック比較

各種スペックに関しては、こちらの表を参考にしていただきたい。Mini 2では機体重量や飛行時間はそのままにカメラ性能や映像伝送の長距離化などの向上が見られる。

 

映像の長距離伝送が可能に

まず映像伝送については、OcuSync 2というDJI独自の映像伝送システムが利用されており、ドローンをあまり詳しくない方にとってみればこんなに飛ぶのか?と驚かれるかもしれない。ただ実際には、ここまで長距離を飛ばすことはなく(航空法の制限もあいまって)見える範疇で運用することがメインなのだが、この電波が強いということは、手元のモニターで途切れずに済む強度を持っているということになる。こちらのほうが撮影において重要だ。OcuSync 2に対応していない初代Mavic Miniの場合は「もしかしたら電波が途切れる? 途切れないように気を付けよう」という配慮をしながら飛ばす必要があるのだが、OcuSync 2に関しては、その負担が少ない。

 

Mini2、Mavic Mini、Mavic Air 2画質比較

カメラ性能に関しては、スペック表のセンサーサイズの差がやはりでており、初代Mavic Mini < Mini 2 < Mavic Air 2となる。こちらに比較動画をアップしているので参考にしていただきたい(暗い滝、逆光の夕日を撮影している)。

上記動画に関してはNDフィルターなし、すべてオートで撮影し、編集時にカラーグレーディング等も行なっていない。初代Mavic Miniのみ2.7Kなので、それを4Kにアップコンしている。また、映像をしっかりと行なっている人にとっては、Mini 2はLogやシネライクなどに対応していないため、Air 2のシネライクに。フラグシップのMavic 2 Proは、Log撮影に対応するなどよりよい映像を求める場合には、物足りないと感じる方もいるかもしれない。ただし、基本的にドローンの映像をスパイスとして、動きのある映像で利用するなど使い方によっては、質感をある程度カモフラージュできることもあるので、この小ささ、運用の楽さ、価格の安さを考えるとMini2にそこまで求めずともしっかりとお値段以上の価値はある。

 

まとめ

DJI Mini 2のファーストインプレッションを書き綴ってみたが、その他に、個人的にここがこうなればいいなと思う点も上げておく。ひとつ目は新型の送信機(Mavic Air 2と共通)だ。これに関しては同じものを使うことによってコストを下げることに寄与していると思うのだが、Miniは小ささが売りの機体でもあるので、初代Mavic Miniの送信機が小さくて荷物が減るため送信機の大型化は残念と感じた。

▲左からMavic Air 2、Mini 2、Mavic Mini。送信機はAir 2と共通になった。
▲スマホを装着して使用する。

 

また付属のケースも初代Mavic Miniのケースがしっかりと必要なものが収まりバッグインバッグとして使えたのだが、今回はAir 2の付属のショルダーになったためケースとして少し大きくなっている。これもコンパクトにという点から外れている。

 

▲左からMavic Air 2、Mini 2、Mavic Miniのケース。

 

とこの2点どちらもAir2を流用することによって初代Mavic Miniでトータルとして持ち運びがコンパクトということが本当に少しのことだが失われている点だけが残念に感じた。ただ、送信機に関しては重さ・サイズ共に許容範囲内であるし、持ち運びのケースに関しても様々なケースが売られているため別で調達すれば問題ないが、本当に削りたいというニーズを持っている人にとっては初代Mavic Miniは、カメラや映像伝送などの性能面では劣るものの、削れるところを削れるという選択肢としてありかもしれない。また、航空法や多少の大きさがあっても映像のクオリティーをとりたい人にとってはAir 2は魅力的な商品であることは変わりない。

 

新たに登場したDJI Mini2は、今回比較したMavic Air 2やMavic Miniのいいとこどりで、真ん中ではあるが、コスパやちょうどいい使いやすさとサイズ感だ。それを考えると冒頭にも書いたように、仕事にもホビーにもとりあえず持っていくドローンとしては、最高にコスパのいい仕上がりになっており、初めての方も、ドローンに慣れた方ももってて出番は必ずあるドローンである。

 

●製品情報

https://www.dji.com/jp/mini-2