パナソニックはフルサイズミラーレス一眼Sシリーズの新製品として、DC-S5を正式発表した。9月25日より発売で、価格はオープンプライスでレンズキットのDC-S5Kが税別28万円前後、本体のみのDC-S5が税別24万円前後となる。

まさに「ミニS1H」とも言える動画仕様

   パナソニックのフルサイズミラーレスカメラ、Lumix SシリーズはS1Hはじめ、プロフェッショナル向けの質実剛健な堅牢ボディのハイエンド路線を歩んできたが、サイズ的にも価格的にもぐっと手に取りやすくモデルがついに登場する。7月に発売開始されたSシリーズの小型軽量ズームレンズ、S-R2060の存在があったので、このレンズにマッチするボディの存在は想像できたが、S5は単なるコンパクト機というだけでなく、「ミニS1H」とも言える動画寄りの仕様になっているのが嬉しいところ。

 まず、ここまでコンパクトになったボディサイズで、4K/60pの4:2:0 10bitを本体記録を実現したのが驚き。記録時間は30分という制限はあるが、4K/30p 8bitであれば時間制限なしで撮影できるという(温度制限はあり)。S1では、V-Logがオプションだったが、S5は標準でV-Log/V-Gamutを採用。パナソニック機の特徴である、LUTを複数種類入れてプレビュー確認できるV-logビューアシスト機能も利用できる。

先に発売されていた20mmから60mmという新発想のズームレンズS-R2060がキットレンズになる。コンパクトでVlog向きのレンズは、まさにこのボディのために用意されていたということだ。

 スロー&クリックモーションは4Kでは60fpsまで、FHDなら180fpsまで可能。またアナモフィックレンズに対応した4:3撮影記録はもちろん、アナモフィックデスクイーズ表示やアナモフィック撮影に適した手ブレ補正に切り替えられるなどミュージックビデオ制作の現場でも使えるような仕様を持つ。

 しかも、年内のファームアップで、ATOMOS  NINJA VへのHDMI経由での動画RAWデータ出力に対応する。さらにC4K動画記録、ベクトルスコープ表示、マスターペデスタル調整、シャッタースピードの角度表示も可能になるというから本格的だ。S1Hはデジタル一眼のスタイルをしたシネマカメラで「業務機」的存在だったが、S5はその機能とクオリティをハイアマチュアや動画クリエイターが享受できるようになるモデルと言えそうだ。

184万ドットのバリアングルモニターを採用。S1Hのようなケーブルに干渉しないタイプの2段階機構ではない。

S1Hと並べてみると大きさはかなり違うが、ボタン配置などは似ており、S1Hのサブ機として使っても戸惑わないだろう。人差し指で操作する位置にあるWB、ISO、露出補正、REC、シャッターボタンのほか、メイン、サブダイヤル、フォーカスのS、C、MFも同じ位置にある。

HDMI端子はさすがにType Aの採用は難しくTypeD。USB端子はType-Cで充電、給電に対応している。

 その他、特徴的なところを紹介していくと、デュアルネイティブISOを採用しているのもポイント。切り替えは手動はなく、自動のみ。その切り替わりポイントは通常撮影時はISO640、V-Log時は最低が640で切り替えが4000。つまり通常は640で、夜間などゲインアップしたい場合はベースを4000にすれば、昼と同等のクリーンな画質が得られる。

 動画AFも進化している。頭部認識に対応し、認識処理が高速化しているという。ボディ内手ブレ補正を採用し、対応レンズとの組み合わせでDual I.S.2としてさらに効果的に手ブレを抑える。

 ビデオカメラとしては当然必要なデュアルスロットによる同時記録、リレー記録は、他社の一眼は動画には対応していないことが多いが、LumixはS5でも対応するのは素晴らしい。

 

SDカードのデュアルスロット。リレー、同時記録が可能。スロット1のみUHS-II/V90カード対応。

S5の動画機能はS1を上回る仕様

S5の動画機能を上位機のS1H、価格帯の近いS1と比較すると以下の通り。S1は堅牢なボディやスチルのシャッターフィーリングなどS5に対する優位性はあるが、こと動画に関しては、S5が上回っている。S1野場合は、SFU2という2万円前後のアップグレードソフトウェアキーを購入することで、V-Logに対応するなど、本格的な動画機になるが、S5はノーマル状態でそれを上回る機能を持つ。さらに近い将来のファームアップでRAW出力への道も開かれているわけで、

 キットレンズS-R2060は、他社にはない特徴的なもので、超広角20mmスタートで最短撮影距離は15cm。ズームを動かしてもピント位置は固定され、ブリージングを抑制、絞りも滑らかに制御するなど、動画用途も充分に考えられている。そのレポートについてはこちらこちらを。

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バッテリーはGH5のものと同サイズだが新規となる。接点は2系統あり、S5には天面の端子で供給。ボディを小型化するためにサイドの接点ではどうしても対応できなかったという。サイドの接点を残しているのは、将来的にこのバッテリーをGH5/GH5Sなどでも使えるようにするためだという。(9月23日追記:この件については未定とのこと。お詫びして訂正いたします)

左がS1H、右がS5。なお、S1H、S1R、S1も今後のファームアップにより、S5同等のAF性能向上が図られる予定。またS1Rは5K動画記録にも対応する。

 

DC-S5のメーカーサイトはこちら https://panasonic.jp/dc/products/s_series/s5.html